高円賃・高専賃・高優賃とは?
高齢者住宅をお探しの際に、物件を掲載しているHP等でこれらの言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。ご相談を受けていてもよく聞く言葉です。
結論を先に述べると、平成23年10月20日に、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正法が施行されたことにより、高専賃(高齢者専用賃貸住宅)、高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)、高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)は廃止されました。
ただし、高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)のみ、同様の仕組みが「地域優良賃貸住宅」制度として各自治体の判断において運営され残っています。よって高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)はまだ制度として残っています。
高専賃(高齢者専用賃貸住宅)や高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)は廃止され、経過措置も過ぎているので、表示が残っているものは変更がもれているものです。
今回はサービス付き高齢者向け住宅の制度がどのような経緯で創設されたのか、旧制度の概要とともに振り返ってみましょう。
<概要>
●高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)
高齢者円滑入居賃貸住宅とは、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅です。
高齢者の方が円滑に入居できる(高齢者の入居を拒まない)賃貸住宅の情報を、貸主が都道府県に登録し、賃貸住宅をお探しの方が登録情報を閲覧できるように公開する制度でした。
●高専賃(高齢者専用賃貸住宅)
高齢者専用賃貸住宅とは、高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅」のうち、専ら高齢者を賃借人とする賃貸住宅です。
貸主が高齢者円滑入居賃貸住宅として物件を登録する際に、以下の事項を併せて申請することで、「高齢者専用賃貸住宅」として登録することができました。
・高齢者専用賃貸住宅の位置 ・高齢者専用賃貸住宅の戸数 ・法第31条の認定(高優賃の供給計画の認定)の有無 ・法第56条の認可(終身賃貸事業の認可)の有無 |
●高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)
高齢者向け優良賃貸住宅とは、高齢者が安全に安心して居住できるように、「バリアフリー化」され、「緊急時対応サービス」の利用が可能な賃貸住宅です。高齢者の生活を支援するために、任意の付加的サービスを提供したり、社会福祉施設等を併設することで、より安心して住み続けられる住宅とすることもできます。
また、高齢者向け優良賃貸住宅は、収入分位40%以下の世帯を対象として、対象世帯数に4万円を乗じた額を上限として、地域住宅交付金制度等により、家賃の減額に要する費用について助成する制度があります。
<歴史的背景>
従来の「高齢者住まい法」では、高齢者の安定確保のため、①高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃:登録制)、②高齢者専用賃貸住宅(高専賃:登録制)、②高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃:認定制)の3つの高齢者向け賃貸住宅が制度化されていました。特に、②高専賃については、平成17年10月の制度創設以来、登録数が平成23年9月末時点で約2,200ヶ所、約6.1万戸の登録がありました。
しかし、これら3つの高齢者向け賃貸住宅については、種類が細分化されわかりづらいという指摘がありました。また、入居者に対する生活支援や医療・介護の提供は事業者の任意となっていたため、サービスの提供がされない住宅では、介護が必要になったときに住み替えが必要となり、高齢者の安心な住まいとしての機能が十分でないものも少なからず混在していました。さらに、サービス面では行政の指導監督制限もなく、情報開示のルールが存在しないことも問題点として挙げられていました。
これに加えて、同居家族の支援が期待しにくい単身や夫婦のみの高齢者世帯の急増に対応するためにも、安心点安全に住める良質なサービス付きの高齢者住宅の整備は課題でした。
このような状況を踏まえ、要請されたのが「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度です。
国土交通省と厚生労働省は、平成23年4月に「高齢者住まい法」を改正し、サ高住の登録制度を創設しました。
<まとめ>
高専賃(高齢者専用賃貸住宅)と高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)は廃止されましたので、HP等で残っているのものは表記が古いものです。それらはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に登録されるか、一般のマンションとなっているはずです。高齢者住宅をお探しの際にはしっかりと確認しましょう。
一方で高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)は制度として残っています。地方自治体より家賃補助が出るのが魅力的ですが、抽選制で中々入れないのが実態です。また、申込制のものありますが、その区に数年間在住といった条件があることがあります。これについても、事前にしっかり情報収集することをオススメします。